手掛けていた仕事がひと段落してホッとする夜、パーティ仲間に勧められたスロヴェニア産のCBDリキッドを、ヴェポライザーに装備してゆっくりと唇をつけて吸っていく。
そういえばお気に入りのアーティストの新譜が出ていったんだっけな。
Soundcloudでリンクを探して、ちょっと大きめの音で視聴する。
”やっぱりいいな~、またあのフェスに行って彼らのライブ聴きたいな~”
私が胸を踊らせる音楽やリズムはあの頃から変わらない。
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音楽と共に旅をしてた あの頃・・
初めてダンスミュージック(いわゆるテクノやトランスミュージック)に出会ったのは東京だったけど、その始まりやルーツを探って行くうちに、気がついたらヨーロッパ大陸で、乾いた風に身を委ねながら踊っていた。
もちろん一夜のうちにヨーロッパまでテレポートした、というわけではなくて、長い年月をかけて、様々なジャンル、様々な遊び友達、様々な場所を転々とした結果として、である。
自分が何者かもわからず、社会が決めたある種の型にはめられそうになることに抵抗しながら、
心の奥底で「ここではないどこか、今の自分ではない私」を探して、音楽と共に旅をしてきただけの話。
今みたいにインターネット技術も発達していなくてスマホもない時代、
旅人たちの情報源は、同じ旅人たちからの口コミやネットで誰かが運営する文字だけのパーティ掲示板とか、そんなものだった。
「ポルトガルの〇〇というパーティが良かった」
「ゴアのレストランのあれが美味しかった」
「あの国のどこどこには〇〇という日本人宿がある」
「次はアフリカで皆既日食が見れるらしい」などなど。
もちろん雑誌やガイドブックも参考にはするのだけど、パーティに関しては、
なんせフライヤーすらも手書きのチラシとか(ひどいとGPSのナンバーだけとか)、
かなりアナログな手段しかなくて、時には自然災害にも巻き込まれたりしながら笑、
それでも誰も諦めず、今思うとよくあんな場所にたどり着いたな、と感心してしまうほど。
楽園を求めて旅をする人間というのは互いに惹かれ合うのか、
元々趣味が同じなのか、音楽を奏でたり、小説や詩を書いたり、
絵を描いたり、造形物を作ったり、星を読んでみたり、ジャグリングをしてみたり、
ヨガを極めてみたり、パワーフードを作ってみたり…
そんなことをみんなでしているうちにいつの間にか今でいうフェスティバルのような原型が出来上がってきたんじゃないかなと思う。
右も左もわからず、何もできないけど何でもできる気がしていたあの頃、
好奇心と勢いだけで旅をしながら(体力は無限)、
たくさんのパンクでアナーキーな友人や先輩たちに出会い、
彼らのように感性を使って自由に生きられる人生を夢見るようになったんだっけ。
CBDを吸いながら・・
結局、私は絵を描くことが好きだったから、気ままな旅ライフの途中で一旦区切りをつけて、
デザインの勉強をし社会人生活にトライした。
大好きなパーティに行けない期間もあったけど、
やっと今はフリーランスになって自分の人生スケジュールをある程度自由に舵取りできるようになった。
絵を描くこと、デザインをすること、その全てのインスピレーションの源になるものが、
音楽であり、あてのない旅路で出会う全ての事象なのである。
CBDリキッドをもう一吸い、喉を伝う優しいキック感と共にまろやかなカンナビスフレーバーを味わう。
緩んでくる感覚と共に、あの頃みんなで眺めた大きな夕焼けが瞼の裏に浮かんでくる。
最近ではスロヴェニアの周辺、クロアチアなどでも面白いフェスとかあるみたいだし、
今年の夏はヨーロッパ周遊でもしようかな~。
頑張る目的が自由気ままに遊ぶため、という自分にエールを送りつつ。
オンとオフのメリハリをつけるCBDアイテムと世界地図を片手に、私は今日も楽園の夢をみる。
BGM
“ I Smell You (Boho Mix)”
by Zen Racoon